バレンタインデイ。
にバイト。久々の昼。
終わってから研究室へ行き、解剖と写真撮影の研究。
まさに今から始めようというときに、作物研の小池さんがやって来た。三回生に用があるのかと思い、取次ごうとすると、私に用があるという。しかも、なにやら渡すものがあると言うではないか。今日という日に渡すものといったら、ひとつしか考えられない。

しかし、彼女と回生が同じ3回生になく、接点の殆どない私にあるというのは、おかしい。なにやら不穏な気配がする。

毒でも盛られるか、そうでなくば新手の美人局かと勘繰った。カワイイ顔して何を企んでいるか訝しがっていると、理由を話してくれた。
いつぞやかの飲み会で、彼女が作ったチョコケーキを私が絶賛したかららしい。そして、そのときにチョコケーキをバレンタインにくれる約束をしたという。私の方はすっかり忘れていたが、彼女はしっかり覚えていて、わざわざ休日に学校までやってきて、私にくれたというわけだ。
彼女は私に渡して終わらせるつもりだったらしいが、残念なことに研究室には他にも人がいたので、仕方なさそうに「研究室の皆さんへ」と、クッキーをくれた。
バイト先の女性陣や彼女からもチョコをもらったが、小池さんからもらったこのチョコケーキが一番感激した。