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太平洋のハイアイアイ諸島に生息していた世にも奇妙な哺乳類、鼻行類のモノグラフ。ここまで独自の進化を遂げた哺乳類がいるとは、まさに目から鱗だった。鼻行類の名のごとく、足ではなく鼻を使って移動する種がおり、それが名前の由来だという。ハイアイアイ諸島唯一の哺乳類である鼻行類は、目を瞠るような適応放散を遂げており、凄まじい多様性を誇っている。
そして、前書きを読むとハイアイアイ諸島はその成り立ちと環境ゆえ、他にも奇妙奇天烈な生物で溢れていたという。きっと、昆虫も特殊化していたんだろうな。是非とも調査に行ってみたい、と言いたいところだけれども、ハイアイアイ諸島は核実験の影響によって、海の底へと消えたらしい。そして鼻行類の標本もそれらが研究のために保管されていたハイアイアイの研究所と共に海の藻屑と消えたそうだ。
本書は一級の学術論文であるとともに、人間とはかくも愚かな生き物だと雄弁に語っている。
※この先に重大なネタバレあり。