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ようやく届いた。
フランスのメタルコアバンド、eths(エイッツ)の3rdアルバム。このバンドを知ったのは某掲示板の音楽スレだったのだが、猛烈な変拍子にも揺るがずない卓越した技術を持つ楽器陣もさることながら、凄まじいシャウト、そしてときに囁くように、ときに祈るように歌うヴォーカルのCandice嬢に度肝を抜かれ、一発でファンになってしまった。いわゆる嬢メタルと呼ばれる、女性ヴォーカルを戴くメタルバンドというのは特に珍しいものでもないが、ことethsにおいては、彼女の存在によって他の嬢メタルバンドの追随を許さない、孤高の存在となっていると言っても過言でないだろう。
今作では様々なヴァージョン違いが発売されているが、大きく英語版とフランス語版に分けられる。しかし、フランス語版の方が断然良い。込められている狂気の質が違う。そしてなにより、フランス語の、なんとも言いがたい舌っ足らずな感じがクリーンパートを引き立てるのだ。
今作は前作に比べて進化、深化しているのは間違いない。楽曲自体はミドルテンポのヘヴィパートを基調としながら、アンビエントな静謐パートや、ビートダウン、疾走パートなども織り込まれており、一曲一曲が念密に作りこまれており、なおかついい意味でのキャッチーさを獲得し、eths史上もっとも聴きやすい作品になったと感じられる。ただし、キャッチーさとは言っても、かなりマニアックなそれではあるけれども。とりあえず、冒頭3曲のVoragine、Harmaguedon、Adonaïは必聴(特にAdonaï)。ここまで聴けば、ethsの狂気に当てられて戻れなくなること請け合いだ。それから#8:Hercolubusも狂気そのままといった具合のシャウトと、クリーンパートの対比が秀逸。
所属レーベルのseason of mistからはコレクターBOXも発売されている。日本円で5,000円そこそこなので、ethsのアツいファン、この機にファンになった貴方、そして円高様々だぜヒャッハー!したい君も注文してみてはいかがでしょう。
ちなみに私はCDが届いてからコレクターBOXが出ていることを知った。泣いた。