昆虫を解剖し、観察する際にはKOHやNaOHで処理し、余分な筋肉や脂肪を溶かすことが多い。しかし、その処理の過程で化学反応により発生した気泡があると検鏡の際に不都合だ。
その邪魔な気泡を除去する方法の紹介。

1.通常通りアルカリで処理したパーツを、水(洗浄)→50%エタノール→80%エタノールと移す。

2.80%エタノールのシャーレに移したら、酒燗器で加熱する(手元の酒燗器では『飛切燗』にセット)。この時、一回り大きめのシャーレなどで必ず蓋をすること。そうしないとすぐにエタノールが蒸発してしまう。

3.沸騰する手前、大体70℃程度になると、シャーレの底から気泡が出始める。この状態で数分待つ。

4.頃合いを見計らって、加熱をやめる。

5.ある程度冷ましたら、顕微鏡で気泡がちゃんと除かれているか確認する。

この方法は別にオリジナルではなく、確かHanley & Ashe (2003)かなにかに同じような方法が解説されていたと思う。

参考:Hanley, R. S. & Ashe, J. S., 2003. Techniques for dissecting adult aleocharine beetles (Coleoptera: Staphylinidae). Bulletin of Entomological Research, 93: 11–18. (DOI: http://dx.doi.org/10.1079/BER2002210)